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ニュースレター8


Japanese Clinical Midwifery Association (JCMA)


NPO法人臨床助産の会 新代表理事
山口みちる

名古屋に事務所を迎えて


 助産師という職能に誇りを持ち人生をかけたこの職能をまもるために、私達はNPO法人臨床助産の会を結成し、今日に至った。
 私達助産師の職能は「生と生殖」に関わる職能である。命を育み、命と向き合って、命を産み育てるという人間本来の、自然の営みを守り支える。そして子供を守り育てる母親としての母性を開花させ、その母性を育てるという、重大な使命をも併せ持っているのである。
 現代社会の環境の変動する波は、生理学的要因を基盤とする、人間の生態系にも影響を与える様な、大きなきしみが生じてきている。今社会が抱えている大きな問題として小子化がある、何故子供を産まなくなったのか? また産めなくなったのか?
経済の発展を最優先した、社会は核家族化を形成し生活水準の向上という価値観から学歴編重社会が生まれたことにより、家族構成を縮小させた事が要因のひとつとなっていると思われる。
 又医学の進歩に伴い理論が先行し、生理学的分野である自然のいとなみとしての、出産が医療の管理下におかれる様になった事が果たして産む人にとって良いお産といえるか、どうかである。
 30年ほど前、農薬がどんどん使われるようになった時「薬は怖い」と世間に警告を発した某大学の先生が「いかなる理論よりも事実が先行する」これが科学の鉄則であると書かれた書を読んだ記憶がある、それから月日が流れるうちに、こわい薬にたいする恐怖心や違和感もうすれ、薬にたよる様になってしまったため、お産が自然から離れていったことも一因になっていると思われる。
 女性の体はお産にむけて、不思議に変化してくるものである、様々な環境や、心理的要求によって、その影響は顕著に現れる。お産は教科書どおりには行かない「産む人の個人差、生まれる児(同じ母親から生まれても)によっても同じお産ではない、と母親(先輩助産師)達から教えられた事が助産師の道を歩んで50年の私自身いつも実感していることである
 理論と言う名のもとに人格を無視することは許されない。暖かさが伝わる助産師の心からの支えが産みの苦しみをどれだけ助けることが出きるかを又、子供を産み育てることの楽しさや、充実感を味わせる事が、子供を産みたい、という女性の本能に訴えられるものだと思う。
 少子化の解決の一つの策として助産師の働きを世の中の女性達はきっと期待していると信じる。
 新しいお産づくりの時代は必ず来る。
 女は子供を産む機械だと発言した大臣もいた、また医療機関の中で助産師不要論も出ていると聞く、開業助産業務への圧迫は大変きびしくなってきているが、子供を産み育てる女の生き方をしっかりと支えるために命をはって、使命をまっとうする助産師の職能がすたれる事は人間が命をつないで行く限り、絶対にあり得ない、業務を遂行するための基本としての助産診断は現代医療の理論を十分学び事実を把握し、生きた心と魂からとぎすまされた知性と感覚による、命を守るための診断であり、また、決断でもある。
 助産診断は先輩から又、それぞれの経験の中から編み出される技と、日々進歩する医療の理論に裏づけされた技として、発展させ、継承させる責任を負うものである。
助産の技は日々改革の連続でもある、NPO法人臨床助産の会は助産診断、助産技術を手渡しする会でもある。実践から培った事実を糧に、職能の域を発展させ、新しい医療現場での理論を実践の場で役立てるためにも、お互いが学び合い、この職能の誇りと充実感を同志に伝えたい。そして、産む人達を守り通す信念の糧としたい
 この職能の喜びを共有できる人達の集まりとして発展することを願っている。


        
NPO法人臨床助産の会をふり返って  
NPO法人臨床助産の会名誉顧問 石塚和子

臨床にある私達助産師は、何といっても生命を預かるため確かな技が必須のものである。
 生には生の程度というものがあり、死には死の程度がある。生命とは時がたつに連れどんな言葉をもってきても、的確にこたえられない、そんな貴重なもの、二つとないものを平気で口にしている、自分がおろかに見える。
 臨床助産の会が只の助産師の会でもよかったかもしれない。しかし、法人を取得して、臨床と言う言葉を頭につけたのは、人間の生命にたいする尊敬の念が心の奥深くに大切にしているからである。
 誰が生命をまもれるか、生命に向かって頭を下げる人間の思いを誰が感じ取れるか。
助産師という職業以前にいのちの重みに、どうむきあえるか、自らが先輩として、後輩にしめしえるものは何か?
「技であり、知であり、愛である」それぞれに忍耐と継続性が望まれる。
今の社会は開業助産師を望んでいる、「 技 知 愛」を後輩に継承していかなくてはならない大切な時期である。これからの臨床助産の会の発展のために尚一層のお力をおかしください。また、今まで応援してくださった皆様に感謝申し上げます。
ありがとうございました。
 


研修会報告《心と技の手渡し》


平成19年5月20日総会後の研修会報告

1妊娠と東洋医学
 「お産の歴史から始まる漢方薬」をテーマに蔭山充先生より講演を頂きました。
妊婦さんは薬を飲むのを胎児への影響等を考えると極力嫌う傾向にあります、また医師の方でも妊婦さんの意思を尊重して、漢方薬を処方する事が多いように思います。その点においては、妊婦と漢方薬は気の会う仲間だと思います。
今回は一回だけの講演でしたので、科学的にと言うところは資料で補っていただき、症状にたいしてこの漢方がこの症状に効果があると言う話でした。
拝聴していきますと、便秘、むくみ、つわり、乳汁不足、子宮復古不全、胎盤残留 会陰裂傷予防、妊婦掻痒、陣痛促進、子宮口熟化等、妊婦の全ての症状に対して色々なものがあります。また効果があるとの話しで、薬の代わりの漢方薬はとても興味をそそるもので、沢山の質問がありました。
私は子宮口熟化させるために、指示の下 五積散と平胃散を良く使います。使った人のなかで予定日超過になり病院にお願いした人が1人もおりません。また、使った人は陣痛がくると子宮口の開き具合が早いような感じがします。あくまでも感覚の問題ですが、漢方薬とは、「効果があると言われているがそれがその人に効果があるとは解らない一応使ってみましょう」とそんな感じで使うのが良いのではないかと思いました。


2 助産師が行う超音波診断
最初は超音波の基本的な使い方などのビデオとパワーポイントのダブルでの映像を見ながらの説明でした。そこでは日頃使っていながら、理解できてなかった超音波の原理などが解り、とても良かったです。
 その後はモデルの妊婦さんにご協力していただき、超音波後期正常編ビデオの映像と同時に実際の超音波画像とが映し出され、日頃使っているところに、細かい解説がついて、より一層理解できました。また、もっと深く勉強したいとも感じました。アンケートにも助産師による超音波診断をもっとして欲しいとのご意見も寄せられて、できれば、妊娠前期正常異常、後期正常異常などトータル的に勉強してみたいと思いました。
A氏より

全国の助産院で超音波を用いて診断をしているのが30%と聞き、少ないことに疑問を持ちました。これからの助産院では、これは最低必要なものと私は考えています。
超音波を導入しない助産院の意見では、助産師としての感覚がにぶるから、手の感覚を大切にしたいからとのことですが、私はその感覚と、超音波診断とを両方行う事が出きるのがベストだと思いますので、助産院では是非この文明の機器を使って、感覚だけに頼らず正しい診断をしていけたらと思います。
医療訴訟も多い中、感覚だけでは、確かではありません。もしもの事を考えると使えるものは使うべきと思います。
今日は超音波の実際と、妊娠後期のビデオを見ながらの説明でしたが、大画面で見ることが出来
これからの診断に役立てていけたらと思います
            B氏より


        

次回研修会のお知らせ

平成19年12月9日10日
鈴木せい子先生を迎えて
別紙参照

平成20年3月9日
大野明子先生を迎えて
詳細は次号にて


NEW YORKにおける助産師たちとの語りと児童虐待について尋ねる旅
                                   名古屋短期大学 保育科 村松十和
旅は山口会長との2人旅で、名古屋から東京までの飛行機は、貸切の2階でゆったり過ごせた。また、帰りの飛行機もこの空路だけは、たまたまビジネスに乗れ、リッチさを味あえる旅であった。行くと決めたのは2人だが、この旅の企画はナンシーさんがしてくださったものである。企画内容は、①ルーズベルト病院の分娩部の見学と産科師長のジョージさんとの昼食会、②助産師に求められる仕事の精神、分娩誘発と子どもの問題について、アメリカの助産師(ドロシア ラングさん・ジョージア ローズさん)と話し合う。③New York  Asian Women’s Centerで活動しているスーパーバイザーであるKaori Nagaoさんから児童虐待について話を聞くことであり、あとはアメリカという広大な台地に足を入れ、この目でニューヨークを観ることが目的だった。アメリカでは仕事できた日本人の企業の方やアメリカの大学に勤務する心理学者のご夫婦、永住している日本人と交流でき、クルーズではアフリカ人家族をはじめいろいろな国々の方と食事を楽しみ、音楽とダンス(ゴーゴー?)で時を過ごし、多くの異文化に触れた旅であった。
ナンシーさんが言葉の壁で不自由がないように人的環境を整えてくださったお陰で、私たちは母子保健に関連したことを学習できた。アメリカ人の助産師との話では、ラングさんの存在が大きく、中国人のカウンセラーから児童虐待の話を聞くのには、Kaori Nagaoさんの通訳のお陰が大きかった。この場で改めて感謝の意を捧げ、NPOの会員の皆様に助産に関する話題を披露しようと思う。
印象に残っていることは、文化が違っても助産師の本来あるべき姿や助産の課題について、日本の助産師よりも考えが一致していたことであった。ラングさんは父上が日本で宣教師をしていたことで日本での生活経験があり、日本の助産師については戦後の歴史からよくご存知であった。私が語った助産師の業務などに対する姿勢や考え方は、彼女が過去において日本の助産師たちに警告してきた内容だという。このようなことからラングさんは私が話した日本の助産師の業務の現状をすぐ理解してくださった。現在はでニューヨークに事務所を構え、国際助産師連盟に関係する業務に携わっておられる。ジョージアさんは助産師として働いた後、コロンビア大学で助産師の教育に携わった経験を生かし、現在は助産師としてクリニックを持ち、ルーズベルト病院のオープンシステムを利用し活発に助産業務を展開している有能な現役助産師であった。 

(以下の話の内容の主たる部分を記載し、共通理解したところをゴシックの斜体で記載して表す。)
日本の産科の現状を話すと、「助産師は助産師だけで助産を扱えるから、助産師は力をつけて助産をしていくこと」であると話された。これに関し、助産の教員が助産の実践に必要な力を十分持っていない現状があり、学生に実践が大切といいながらも研究業績を積み重ねることに奔放して、実習指導が手薄になっている現状を話した。その後、この現状は学生が助産師の免許を取得して臨床に出て行っても助産診断に必要な技術の習得がなされていないため、正確な助産診断にならないことを話した。助産師の教員はプラクティスの管理がわからないから、「学生を指導する教員は助産の実践ができることが必須で、実践をして学生の実践モデルになり、助産師の仕事を行動でも伝えていく必要がある」との共通理解にたった。さらに、臨床では看護師や助産師が患者や妊産婦に直接、技術提供するのではなく、看護補助者に指導して実践がされる場合もあると話した。最近の医療の現場ではコンピュターが登場し、検温も患者に目を向けないでコンピュターを見て記入するところもある。患者や妊産婦を理解するには、ベッドサイドに行って環境整備や患者のケアを直接する中で、自分の感覚器をフルに使い(ノンバーバル・コミュニケーション)生の情報を得て、患者や妊産婦の状況を総合的に判断して、看護や助産計画を立てて実践することが重要である。看護師や助産師が看護の補助者から情報をもらって調整し計画を立てるだけでは、患者や妊産婦の状況をタイムリーにつかんで適切なケアを実践する上で好ましくない。なぜなら悩んでいる人や病んだ人は、直接手や掛け声をかけてもらうことによって、こころを開き看護者との間に信頼関係が生まれ、前向きに立ち向かう姿勢がとれるからである。たまにしか顔を見せない看護者に真の自分を見せるだろうか、ケアを受けたいと思うだろうか?「看護師や助産師の仕事は、患者や妊産婦に寄り添うなかで適切な情報がタイムリーに収集でき、適切なケアがタイムリーに行えることである」。さらに助産の場合には、「夫の関わりが子どもにとっても妻にとっても重要になるので、夫と話をすることが大切で、夫婦のチームワークを指導していく時に夫をクルーディングしていくことである。」と共通理解した。最近、子どもの行動がおかしい現状を話題に出し、分娩誘発や促進で使われる薬物との関係で推測されることを話した。産科領域で心配される薬物を使用し始めた頃の子どもたちが成長し、問題となる不思議な行動が頻繁に報道されるようになった。日本では産科で使う薬物ではないが、インフルエンザで使う薬物と人間の奇妙な行動との関係が指摘され、調査がなされている。なぜか産科のこの薬物だけは調査がなされない。おそらくアメリカと同じような薬剤の需要と供給システムが存在するから、メスを入れにくいのだろう。臨床では分娩でこの薬物を沢山使ってきた。確かにこの薬物を使う必要があるときもあったが、陣痛の自然発来を待てばいいものもあった。一時期より、この薬物を使って計画分娩することが少なくなったが、適正な使用を願いたいところである。この話題になるとジョージアさんもラングさんも、目の色を変えてピトシン(陣痛誘発剤)の研究を誰かやらないかと文献までくれ、研究方法まで説明をしてくれた。自分もずっと前からやりたいと思っていた研究ではあるが、日本でもアメリカ同様、やれない現状があることを話した。話題を話す中で、こんなときだからこそ助産師の手で分娩をできるだけ自然にいくようにケアをしたい。助産師は女性の本来持つ力を最大限に発揮できるよう、妊娠期から夫を交えて相談にのっていかなければならないと共通理解した。
児童虐待については、話されたポイントを記載する。アメリカの児童虐待は、小学生に多い。0-5歳は子どもが自分のケアできないからネグレクトすることはインパクトがあるからだという。これは実母が多い。5-12歳は自分のケアはどうにか対応していけるから、身体的暴力や性的暴力であるという。虐待された男の子は外に怒りをぶつけ、女の子は自傷行為が多いという。
実母の虐待パターンは育児ストレスが原因で、子どもを吐け口として身体的虐待やネグレクトが多いという。性的虐待は、子である必要がないからといい、ニューヨークの特徴的なことが話された。日本の女性は彼でもできれば、逆に子どもが邪魔になり子どもを虐待するケースがある。しかしニューヨークの女性は人生に変化があるとき(新しい彼ができた)は、逆に虐待が減るという特徴がある。

虐待された子どものケアでは、虐待の種類に関係なく、まず家庭環境から子を離すが、家庭の輪(親族から始まる)からはずさないことである。これが成り立たない場合に、里子に出すとか養護施設に預けられる。施設に預けられた子どもは、メンタープログラムといって、健康的な大人にあわせるために、子どもはマッチングした特定の大学生と1年を通じて会わし、常に一定の関係を保つようにすることで、大学生との間に信頼感が生まれるようにする。子どもにはグループカンウセリングも有効で、子どもはこれによって一人ではないということを感じとるようだ。さらに、両親と子どものカウンセリングは義務付けられており、深刻さがあって戻してもよいと思われるときは家に戻しているとのことであった。母親が帰すことを要望する場合、家庭環境の証明をするならば家に戻すこともあるというが、このシステムは問題があるという。しかし、16歳以上に子どもがなっている場合は、法的に子どもが「親と認めるか認めないかを伝えることができる」とのことであった。子どもの家庭復帰に当たっては、自分の言ったことを論議できる。養育権を剥奪されることはなく、それは精神疾患でもないということであった。なお、子どもの心の健康回復では、ゴールをどこに設定するかが課題であるということだった。親の信頼を回復させるためには、親が子にやったことを隠すことは、「正当性」を欠くということを教えているということであった。
最後に自分の考えを書いておこうと思う。人が生活する地域の政治や経済・文化が違っても、子どもを懐胎して子宮の中で育て、産むという女性の役割、子どもを一人の人間として健康に育てるという夫婦やその家族の役割、その地域社会の役割は変わらない。助産師は女性のよき隣人としてその女性が持つ力や、その女性の配偶者をはじめとした家族が持つ力を十分引き出すことができるよう、機能しなければならない。そして、妊産婦の生活を援助するには生活する本人が主体でなければならず、あくまでも助産師はその人々のよき相談相手であり、健康状況に応じて手段的なサポートを施す専門職種であることを忘れてはならない。助産師の仕事では、机上の知識は参考になるだけであり、妊産婦や子どもの生活は2人として同じ生活を送るものはいないことを知る必要があるだろう。つまり、実践の科学は実践が先行し、理論があとについてくることを忘れてはならない。どんなに時代が変わっても、どこにいっても助産師がする基本の仕事はかわらない。母と子の健康を守る助産師を絶やしてはならない。絶やさない努力は助産師が母親をはじめとした地域の人々を巻き込んで、助産師の働きを伝え、日々その人たちのために努力をする実践を惜しまないことであろう。
CM  ホームページ作成させてください
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お申し込みは奥田朱美 電話0743-65-3811まで



ルーズベルト病院の分娩室(LDR)のバス

●●●  一休み  ●●●     
こんな大きなおにぎり作りました、(1,5合)


目は梅干、眉は高野の胡麻和え漬物
ホホはシイタケ、髪の毛は海苔を切りました
角はにんじんです(生)、
食べるのに苦労しました。
       
◆◆◆編集後記◆◆◆

このたびニュースレター担当の奥田朱美と申します、まだまだ不慣れですが、皆様におとどけできるように頑張っていきたいと思いますのでよろしくお願い申し上げます。
投稿をお待ちしております
akane8@jyosansi.comまでお願いします

発行人 臨床助産の会
Japanese Clinical Midwifery Association (JCMA)
代表理事 山口みちる
〒477-0036
愛知県東海市横須賀町四の割68番地
TEL/.FAX(0562-32-0575) 
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