本文へジャンプ
助産師のあかねホーム 道具箱 図書館 助産院 リンク メディア BBS ブログ


【C】正常産褥と褥婦の保健指導

 [1]産褥の生理
   1.産褥の定義
    褥婦とは、分娩後に母体の全身及び性器が、妊娠していないときの
    状態に回復するまでの期間をいう 通常6〜8週間

   2.ホルモンの変化
    絨毛性ゴナドトロピンは血中に7日で、尿では14日で検出できない     ヒト胎盤ラクトーゲンは6〜12時間以内に検出できない     エストロゲンは7〜8日で正常妊婦に状態に     プロラクチンは授乳開始によって増加する     下垂体後葉からオキシトシンが分泌される――吸引刺激で    3.内性器の復古     子宮の復古     ※表16の説明       分娩直後――臍下3−4指横経       12時間後――臍高       5日――――臍と恥骨結合上縁の中央       6週で―――妊娠前の状態に戻る     膣と外陰の復古     悪露     産褥1〜5日ごろ―――暗赤色悪露(血性)       5日以後は―――褐色悪露(漿液性)       8〜10日以後―――黄色悪露(白色)     通常悪露は4〜6週でなくなる。量は500〜1,000g     授乳をすると収縮が良いので悪露の排泄が良く、     性器の復古が促進される    4.腹壁の復古     新妊娠線(赤紫色)は白い旧妊娠線になる     腹直筋の離開    5.乳汁分泌     初乳と成乳     初乳――――半透明でやや黄色           蛋白質が多く脂肪が少ない           免疫体を含む           ナトリウム、カリウムなどの塩類の含有量が           多く、胎便を排泄を促す     成乳――――産褥3〜4日ごろから白色不透明な成乳     射乳現象――児が吸っていると、乳腺から乳汁が出てくる     乳汁分泌とホルモン――プロラクチンは乳汁の生成を促進する     乳汁の分泌量――乳汁を止めるときは、産褥早期にプロモクリ             プチンまたはエストロゲンの投与。冷やす  [2]褥婦の看護と保健指導    1.復古現象の助成     子宮の収縮状態――硬さ、高さ、流血     悪露の性状     産道の創傷の治癒の状態     ・分娩後24時間は弛緩出血に注意、異常の早期発見に勤める     ・膀胱直腸の充満を避け、悪露の子宮内滞留を防ぐ     ・母乳保育による児の吸引刺激をすすめる     ・局所の清潔と消毒による感染防止に勤める     ・休息と睡眠、栄養を十分にとる     ・全身の復古の助成――産褥体操    2.感染予防     全身の清潔――シャワー浴     悪露交換――(目的)ー局部の清潔               悪露の観察(色、臭い、混入物)               外陰の観察              (裂傷の縫合の状態、浮腫、血腫の有無)               褥婦を気持ち良くさせる           (方法)P72、図43/上から下に向かって拭く           (必要物品)悪露交換トレイ、拭き綿、産褥パット                 T字帯、鉗子、消毒済み濃盆、懐中電灯     褥婦自身で行う場合の指導(歩行開始指導)         産褥8〜12時間後より歩行開始(病院によって違う)         1.手指の洗い         2.外陰部の消毒の仕方、拭き綿の使い方         3.悪露の量、悪臭、混入物の異常な様子が見られれば報告    3.乳汁分泌の促進     ・栄養の増進―――――栄養素を十分に摂るように指導する     ・精神の安静と休養――精神的負担をかけない                睡眠安静を十分にとる
    ・乳腺の刺激―――――乳房マッサージ                児の乳頭吸引刺激                母乳栄養の実際授乳開始は、生後12〜24時間後                とされている                生後8〜10時間後に5%のブドウ糖を飲ませて、                その後直接母乳をさせ、不足分を糖水で補う。                ミルクは生後3日以後に母乳不足の場合に補う               (病院によって違う)      ※1回の哺乳量は、日数に10または20を足した量       (1ヵ月では、1回120〜140当たりが無難)     ・授乳時間・授乳間隔(1回の授乳は、30分以上にならないようにする)       (1)規則授乳法――3時間おき、1日6〜7回で夜間夜間の授乳を1回抜く       (2)自律栄養法――乳児が空腹のため泣いたときに、時間に関係なくい                つでも、授乳をする     ・授乳方法       溢乳――少しミルクを口から出す状態       嘔吐――吐くこと  ※人形で抱き方の説明     ・乳房の手当       授乳後は乳房を清潔にして、タオル、ガーゼを当てる       乳頭の亀裂――――清潔にして医師の指示で薬を塗る       変形乳頭の場合――乳頭帽、乳頭吸引機、他、対策を練る     ・乳房の管理       母乳を良く出すために――十分な睡眠、栄養、水分                   児の吸てつ、授乳のあとの搾乳                   ※マッサージのビデオを見せる     ・母乳栄養の利点――――スキンシップができる                 子宮復古に良い                 経済的、手間いらず                 円滑な母子相互作用                 免疫が多い                 理想的な栄養    4.母子相互作用の援助     出産直後から母親と新生児の相互作用が円滑になされ、母子間に愛着     と絆が改正られる様に援助する(図51を読む)    5.一般看護     (1)動静――分娩後6〜12時間で歩行開始           産褥第3週後ころ離床、入浴           1ヵ月後、外出           産褥6〜7週後に元の生活に復帰     (2)排尿――産褥の初期に腹壁の弛緩で排尿困難になりやすい           膀胱の充満は子宮の復古を妨げる           産後の第1回の排尿を確認する、無い場合は導尿     (3)排便――3日以上排便が無いときは指示を得る           便秘し易い……水分をベビーに取られる                  腹空が急に広がって便秘になりやすい     (4)精神保健――分娩による疲労や、育児に対する不安、責任感などから             精神的に不安定な状態にある褥婦の感情を刺激しないよ             うに気を配る     (5)褥室の環境整備――感染源から遮断した衛生管理が大切                室温18〜22度                湿度60〜65%     (6)産褥体操      ――目的       1.骨盤底筋肉の回復をすみやかにし       2.血液循環を良好にして       3.下腹部臓器のうっ血を防ぐ       4.子宮、膣、外陰の復古を助ける       5.気分を爽快にする      ――種類       深呼吸、手足の運動、腹筋の運動、骨盤底筋の運動      ――方法       24〜48時間後から深呼吸       次の日、上肢の運動       3〜10日目から頚、下肢の運動       褥日数が進むにつれて、運動の程度を強くし回数も増やす     (7)母児同室制
      [母児同室制の利点]       ・母親の児に対する情緒の発達を豊かにする       ・母親への育児指導がしやすい       ・母乳栄養が確立しやすい、授乳率が増す       ・新生児間の感染の防止となる       [母児異室制の利点]       ・母親の休養が取れる       ・外部からの感染防止が計れる       ・観察、看護がしやすい、児は集中して看護が受けられる  [3]産後、退院時の保健指導   1.褥婦の保健指導   2.育児指導   3.家族指導   4.継続看護


【第3章】周産期の母子の疾患と看護

(A)異常妊娠
  1.妊娠悪祖
  2.流産と早期産
  3.子宮外妊娠
  4.胞状奇胎
  5.頚管無力症
  6.妊娠中毒症
  7.常位胎盤早期剥離
  8.前置胎盤
  9.多胎妊娠
  10.羊水過多症
  11.子宮内発育遅延
   12.妊娠中の出血
   13.妊娠、分娩、産褥の合併症 

――感染症
  1.風疹
  2.インフルエンザ
  3.ヘルペスウイルス
  4.HBS抗原陽性
  5.梅毒
  6.クラミジア感染症
  7.トキソプラズマ症
  8.結核
  9.心臓疾患
  10.糖尿病
  11.甲状腺の異常
  12.貧血 
  13.虫垂炎
   14.膀胱炎
   15.腎盂炎
  16.自己免疫疾患
  17.合併症を持つ妊産婦の看護

(B)異常妊娠時の妊婦の看護
  ハイリスク妊娠
 1.妊娠悪祖の看護
 2.流産と早期産の看護
 3.子宮外妊娠の看護
 4.胞状奇胎の看護
 5.妊娠中毒症の看護
 6.常位胎盤早期剥離の看護
 7.前置胎盤の看護
 8.多胎妊娠の看護

(C)異常分娩
 ・産道の異常
  1.骨産道の異常
   狭骨盤
   広骨盤
  2.軟産道の異常 
   子宮頚部の異常
   膣、会陰の異常
   周囲の腫瘍
 ・娩出力の異常
  1.陣痛の異常
   微弱陣痛
   過強陣痛
   けいれん陣痛
  2.腹圧の異常

【胎児の異常による分娩障害】
  1.胎位の異常……骨盤位
          横位
  2.胎勢の異常(反屈位)
  3.回旋の異常……後方後頭位
          高在縦定位
          低在横定位
  4.発育及び形態の異常……発育の異常
              形態の異常

【胎児付属物の異常】
  1.卵膜の異常……早期破水
          遅滞破水
  2.臍帯の異常
  3.胎盤の異常……稽瘤と残瘤
          病的変化

【分娩時の異常出血】
  1.子宮、軟産道の損傷……子宮破裂
              頚管裂傷
              会陰裂傷
  2.子宮収縮の異常…………弛緩出血
              胎盤嵌頓症
  3.子宮内反症
  4.低フィブリノゲン血症(低繊維素原血症)
  5.産科ショック
  7.胎児の死亡

(D)異常分娩時の産婦の看護
   1.産道の異常の看護
    ・骨産道の異常の看護
    ・軟産道の異常の看護
   2.娩出力の異常の看護
    ・陣痛の異常の看護
    ・腹圧微弱の看護
   3.胎児の異常の看護
    ・胎位の異常の看護
    ・胎勢、回旋の異常の看護
    ・発育及び形態の異常の看護
   4.胎児付属物の異常の看護
    ・早期破水の看護
    ・臍帯の下垂及び脱出時の看護
    ・胎盤の稽瘤の看護
   5.分娩時の異常出血の看護 
    ・子宮、軟産道の損傷と看護
    ・子宮収縮の異常の看護
    ・子宮内反症の看護
   6.産科ショックの看護


(E)異常産褥
  1.産褥熱
  2.悪露滞瘤
  3.子宮復古不全
  4.尿路感染症
  5.乳房の異常
  6.産褥期の精神障害

(F)異常産褥時の褥婦の看護
  1.産褥熱の看護
  2.悪露滞瘤の看護
  3.子宮復古不全の看護
  4.尿路感染症の看護
  5.乳房の異常の看護
  6.マタニティブルーの看護

(G)産科手術とその看護